■Inspiration
【Textiles Prints and Textures】・・・・からイメージできるのもを色々な角度から調べてみた。その中から一人の種字彫刻家についてとても興味を抱き、直接その彼を訪ねた。
そもそも種字彫刻というものをご存知でしょうか・・・・・?活字地金彫(活字直彫、種字彫刻)とは、活版印刷で使われる活字のもととなる母型(凹型)を作るための、さらにもととなる種字(父型)を、鉛と錫の合金である活字材に左右逆字でじかに凸刻していく技術のことである。マッチ棒ほどの平面に人の手により逆字を彫っていく。(デザインのひきだし<6>より引用)
この種字彫刻家である88歳のS氏に、直接活字を彫るところをみせていただいた。88歳にして未だに衰えない職人業に圧倒された。さらに彼の職人人生のお話を聞かせていただいた。彼曰く、「この種字業がまだもてはやされた頃は生活に困らなかったが、1955年代以降次第に機械が開発され瞬く間に仕事がへり廃業となったが、2004年頃活字研究会の要望に答え、今の時代またこうして職業としてはないまでも、いろんな若者達がこの種字彫刻に興味をもって訪ねて来るのがとても不思議で面白いし。こんな職業があったことを覚えておいてほしいと・・・・。人生はいつも良いことが続くでもなし、悪いことも長く続くわけでもないけど、時代が変われば食べていけなくなる職業もあると。」この彼の言葉と活字を彫る姿から、イメージがわいた。字を凸凹に彫っていたのであれば、布地に模様や柄を印刷することもまた同じ手法で出来ると。この凸凹を基調に、また彼の人生の光と影をモチーフに今回の作品を作ろうと思った。